1. 層雲峡温泉氷瀑まつり真冬に開かれる氷の祭典

達人指南

現地の達人が旅行の楽しみ方を伝える観光コラムです。人気の観光地から知る人ぞ知る穴場まで、達人だからこそ分かる一歩踏み込んだ“通”な情報を紹介しています。

層雲峡温泉氷瀑まつり真冬に開かれる氷の祭典

  「層雲峡温泉氷瀑まつり」は、例年1月下旬~3月中旬にかけて開催される北海道冬の一大イベント。氷の建造物やオブジェの数々は暗くなると色とりどりにライトアップされ、圧巻の幻想的な風景を作り出します。あたたかな服装にしっかりと身を包んで、冬ならではの体験をしに出かけましょ。

氷瀑まつりメイン

  層雲峡氷瀑まつり(そううんきょうひょうばくまつり)は、上川町にある層雲峡で毎年1月下旬から3月下旬まで開催される、ロングランのイベントだ。氷の建造物やオブジェ、ステージなどが一挙に集まり、夜には七色の光でライトアップされる幻想的な氷の王国。

このイベントは、平成30年(2018)で43回を数える歴史ある冬の催事のひとつだ。氷柱・氷のトンネル・アイスドームなど、大小50基ほどのさまざまな氷の造形物が石狩川沿いに並び、まさに“圧巻”の風景をつくり出す。

取材・文/かとう けいこ 投稿/平成27年(2015)12月

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氷瀑まつり達人
(はまだ こうじ)
濱田 耕二さん

層雲峡氷瀑まつりの達人
  NPO法人「かむい」代表理事。地元上川町生まれ育ち。大雪山の環境を次の世代に繋ぐことを使命にフィールドで活動中。黒岳、赤岳、白雲岳など周辺の山岳パトロールや、登山道整備などの環境整備、北海道の自然の魅力を伝えるエコツアーの企画やガイドをしている。「層雲峡氷瀑まつり」にも毎年11月から始まる氷づくり、骨組作りから関わる。

大正時代の文豪によって広まった層雲峡の魅力

流星・銀河ノ滝

  層雲峡温泉の名は、大正時代の文豪・大町桂月(おおまちけいげつ)により「中央公論」に発表された紀行文 「層雲峡から大雪山へ」で全国的に知られるようになった。

現在は、大型ホテルも立ち並び、宿泊施設の数も15軒と豊富に。層雲峡は北海道を代表する温泉地となった。しかし、層雲峡の魅力は温泉のみにあらず。ロープウェイも整備されており、大雪連峰のひとつ・黒岳の登山ベースとしても利用されている土地。また、層雲峡は24キロメートルにわたって断崖絶壁が続く特殊な地形条件であり、景勝地「大函・小函」「流星の滝・銀河の滝」を見るため、春~秋には多くの観光客が訪れる。この、断崖から流れ下る滝も凍る寒い冬に開かれるのが「層雲峡氷瀑まつり」なのだ。

石狩川上流域の水を凍らせてつくられる大氷瀑

層雲峡の花火

  この氷瀑まつりは昭和51年(1976)に始まった。アイヌの英雄・シャクシャインの像を作成したことでも知られる恵庭市出身の彫刻家・竹中敏洋の指導のもとに発案され、第1回が開催されたと言われる。当時、竹中氏は恵庭市の山中に居を構え、立ち木に水をかけて実験を繰り返し、寒さが生み出す氷の芸術品を作り上げた。石狩川の水を氷点下の中で吹きかけて作るという、寒冷なこの地域ならではのアイデア。現在、まつり会場はなんと1万平方メートルもの広さを誇る。

セレモニーではレーザーショーや花火の打ち上げが行われ、同時開催のアイスクライミング体験も人気である。また、敷地内には氷の建造物が立ち並ぶが、メインの建造物は、外国からの来訪客が多い台湾やシンガポールの建物を作るのがここ数年の流れ。今年は「龍虎塔」や「マーライオン」などが遠来のゲストを迎える。

毎年人気のスポットが「氷の展望台」。これは高さが15メートルあり、祭り会場全体を360度見渡すことのできる撮影スポットだ。さらに、「氷爆神社」も設置されており、氷のオブジェに硬貨が付着するようになっている賽銭所は、参加者がみんなで作り上げる作品。11月上旬から足場を組み、長い時間をかけて形成されるオブジェに注目してほしい。また、会場全体をつなぐトンネルは、雪が降る日も、冷え込む時にも一瞬寒気から逃れられるため、ホッとする場所だ。

「氷瀑太鼓」は滔々と流れ下る石狩川のリズム

氷瀑太鼓

  氷瀑まつりはイベントも多彩だ。氷瀑太鼓、お楽しみ抽選会、氷瀑ウェディング、アイヌ民族の舞踊、幸運の餅まきなど、さまざまなイベントが催され、土曜日・日曜日には火の宴と呼ばれる花火大会も。

イベントの中では、地元の上川町郷土太鼓保存会が熱演する「氷瀑太鼓」に注目してもらいたい。これは、昭和43年(1968)に、町内の若手経営者を中心として立ち上げたもの。怒涛のリズムを刻む独特の太鼓曲は、とめどなく流れ続ける石狩川を表すと言われている。この地域に続く生活の歴史を感じさせる力強い太鼓は、祭が地域全体で取り組んでいることを表すものだ。

冬の層雲峡を時間帯別に楽しむなら?

氷瀑・銀河ノ滝探訪

  層雲峡は渓谷の中にあるので、午後遅くには徐々に日が沈み始める。氷の建築物や大雪山麓の深い渓谷の自然を生かした柱状節理の断崖絶壁から、滝が巨大な氷瀑となってそそり立つ。その氷にも夜には照明が入れられライトアップ開始。より神秘的な光景が見られるので、ぜひ宿泊して氷のさまざまな姿を体感してみよう。フィナーレを飾る火の宴(土日に開催)は必見だ。

一日を効率的に楽しみたい、また冬の層雲峡を満喫したいという人には、まつりとは別の体験プログラムとして“朝~昼”のアクティビティがおすすめ。黒岳ロープウェイを管轄するりんゆう観光が、黒岳の新雪を体験する「カムイの森スノーシューハイキング」を実施。また、冬に氷の世界となる「銀河ノ滝」をスノーシューで散策する「氷瀑・銀河ノ滝探訪」層雲峡ビジターセンターで催行する。どちらも3月下旬まで開催しており、ロングラン開催の氷瀑まつりと重なる時期だ。

「氷瀑・銀河ノ滝探訪」では、“フロストフラワー”(冬の華)を見るチャンスも。これは真冬、マイナス15℃以下の極寒の条件下にだけ発生する氷の結晶である。朝~昼に層雲峡ならではの体験をしつつ、夕方~夜はイベントを観光、その後に温泉でゆったりというプランを楽しんではいかがだろう。

まつり見学の後は、やっぱり“大雪山麓”の名湯へ

黒岳露天風呂

  明治33年(1900)3月に塩谷水次郎氏らによって発見されたと言われる層雲峡温泉は、単純温泉で無色透明・無味・無臭。肌に対する刺激も少なく、体にやさしい温泉。皮膚の弱い人や高齢者、幼児などにも向くため老若男女問わず、安心して入ることができる。効能はリウマチ、糖尿病、高血圧など。温泉ホテルの他に、層雲峡温泉街の中心地に町営の天然温泉「黒岳の湯」があり、日帰り客にも立ち寄りやすいと人気だ。ここはふたつの大浴場と露天風呂、サウナ、水風呂等を備えている。

層雲峡同様に大雪山の山麓には魅力的な温泉があるので、最後に紹介。1954~60年に発見された旭岳温泉は、大雪山連峰の北東・切り立った大渓谷の中にある。泉質は単純硫黄泉で、効能はリウマチ、糖尿病、高血圧など。加温・加水・循環なしの、100%源泉掛け流し。3つの湯元による毎分140リットルの豊富な湯量が自慢だ。塩化物泉でお肌もつるつるで、湯冷めもしにくく身体の芯からぽかぽかと温まる。

天人峡温泉は旭川の南東・約40キロメートル、天人峡の景勝地にあり“秘境の湯”といった感じの情緒ある温泉街だ。含食塩芒硝泉でやや黄味を帯びた温泉は、神経痛、創傷等に効能がある。どちらの温泉も層雲峡温泉からは一度旭川市へ戻り、東川町を経由してのアクセスとなる。氷瀑まつりのある冬季にも開いているので、時間に余裕のある人におすすめしたい。

[たびらいセレクション]

氷瀑まつりとセットで楽しもう!上川町周辺のおすすめ観光

近隣の立ち寄りどころ3選

  まつり会場以外にも、上川町や近隣の旭川市には“雪・冬を感じられる”施設がたくさん。屋内なら、ファミリーで長時間楽しめる。

おすすめポイント
  ビジターセンターとは、国立公園を訪れた人たちに、自然との触れ合いをテーマに自然学習や自然体験の手助けをする施設だ。その先の“自然保全への理解を深めてもらうこと”を目的としており、写真や植物・動物の標本などによる分かりやすい展示が魅力。また、パンフレット等の多言語も進んでいるので、海外の人にもおすすめだ。博物館の一面も持ち併せるこうした施設で予習をすると、このエリアをさらに楽しめる。

層雲峡・冬のおすすめアクティビティ3選

  氷瀑まつりと一緒に楽しんでもらいたい、層雲峡・冬の遊びをピックアップ!

おすすめポイント
  北海道の中央に位置する層雲峡(上川町)では、冬になると0℃を下回る日が続くため、本州の重く湿った雪とは違う、世界最高クラスの粉雪だ。それがパウダースノーとなり、世界中のスキーヤーやスノーボーダーたちが、「一度は大雪山で滑りたい!」と思い焦がれる。それを気軽に楽しめるのがスノーシュー。特別な技術は必要なく、足に取り付けるだけで誰でも手軽に楽しめる。

上川町の名物グルメスポット3選

  ご当地ラーメンや昔ながらのよもぎ餅など、上川町ならではのグルメを満喫しよう。

おすすめポイント
  大雪山の伏流水を使って麺とスープを作ることをルールに、昭和61年(1986)に作られたのが「日本一ラーメンの会」。地元のもち米を食べて育った「渓谷味豚」を使用しており、とてもやわらかな“とろける”食感のチャーシューがおいしい。一杯のラーメンに地元の豊かさが込められている。冬のイベントの前後に、10軒ほどあるラーメン店を巡るのもおすすめの旅行スタイルだ。

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層雲峡温泉郷への交通アクセス

  旭川から層雲峡まではクルマで約1時間強の道のり。現在は旭川紋別自動車道を無料で通行することができ、層雲峡上川ICからの距離も近い。また、JR旭川駅・上川駅から層雲峡行きのバス(道北バス)が出ているので、列車旅も可能。

層雲峡氷瀑まつりの開催事項

  【開催期間】
平成30年(2018)1月25日(木)~3月18日(日)

【住所】
北海道上川郡上川町層雲峡温泉

【問い合わせ(電話番号)】
01658-5-3350(層雲峡観光協会)

車(レンタカー)で

  【札幌から】
道央自動車道を経由し、比布JCTで旭川愛別道路へ。そのまま旭川紋別自動車道(無料区間)を経由し、上川層雲峡ICで下車。国道39号線で層雲峡温泉へ。約200キロ、約2時間40分。
【旭川(駅)から】
道央自動車道・旭川鷹栖ICから高速道路を利用。比布JCTで旭川愛別道路へ。そのまま旭川紋別自動車道(無料区間)を経由し、上川層雲峡ICで下車。国道39号線で層雲峡温泉へ。約75キロ、約1時間15分。

バスで

  JR旭川駅から道北バス「層雲峡線」を利用。約2時間。
JR上川駅から道北バス「層雲峡線」を利用。約35分。

JRで

  札幌から旭川までは特急を利用、約1時間20分。
旭川からJR石北本線(上川行き)に乗車し、約1時間10分。
※上川駅前からはタクシーもしくは道北バスを利用

層雲峡氷瀑まつりを快適に楽しむためのQ&A

Q どんな服装で行けばいいですか?
A まつりの開催時は、例年氷点下15℃前後になると予想されており、寒さ対策を万全に行うことをおすすめします。ウールのセーターの上に厚手のコートなどの重ね着で調整したり、首元、耳元を温めるマフラーや耳あても必要です。また、お子様は安全面も考え、スキーウェアと帽子、手袋の着用がおすすめです。
Q 靴はどういうものがよいですか?
A 雪で服や靴が濡れてしまう可能性がありますので、防水スプレーを利用しましょう。靴は動きやすく濡れにくい素材でできたブーツがベストです。転倒防止用としては、ブーツ等に取り付ける簡易の滑り止めが、保温効果としては貼り付けるタイプの靴用のカイロも効果的です。
Q 入場料等はどうなっていますか?
A 入場料金はかかりません。氷瀑まつり実行委員会は、例年自然環境の保全・保護を目的として300円の「氷瀑まつり協力金」を募っており、協力者には甘酒を購入する際の割引券やポストカードが進呈されます。
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花

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